2026年度診療報酬改定で医療DXは次の段階へ―製薬企業に求められる情報提供の変化

2026年度診療報酬改定では、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制整備が、
安心・安全で質の高い医療を支える重要な施策として位置づけられました。

今回の改定は、単にデジタル機器の導入を促すだけではなく、医療情報を実際の診療や服薬管理に活用し、
医療の質と業務効率を高める段階へ移行した点が特徴です。

2026年度改定で示された医療DXの方向性
改定では、従来の医療 DX 推進体制整備加算や医療情報取得加算を見直し、               「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されました。                          マイナ保険証の利用に加え、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスなどを活用し、            患者の診療情報を安全に共有できる体制が評価されます。また、電子処方箋システムを活用した         重複投薬等のチェックや、救急時の医療情報閲覧を促す評価も設けられました。

オンライン診療についても、D to P with N(*)などの診療形態を含め、施設基準や評価が見直されています。  こうした変更から見えるのは、医療 DX の評価軸が「導入しているか」から「連携し、活用できているか」へ 移っていることです。
*Doctor to Patient with Nurse の略。医師が遠隔地からオンラインで診療を行い、患者のそばに看護師等が同席しサポートするオンライン診療の形態

 

製薬企業の情報提供にも求められる変化
医療機関では、人手不足への対応や業務負担の軽減が大きな課題となっています。              医師や薬剤師が限られた時間のなかで必要な情報を確認するためには、対面での説明だけに依存せず、     必要なときに正確な情報へアクセスできる環境が欠かせません。                      

製薬企業には、MR による対面活動とデジタルチャネルを組み合わせた情報提供が一層求められます。     例えば、オンデマンド動画、Web セミナー、デジタル資材、FAQ サイト、問い合わせ窓口、         AI チャットボットなどを整備し、医療従事者の状況に応じて情報を取得できる仕組みを構築することが    考えられます。                                            

重要なのは、チャネルを増やすこと自体ではありません。                         情報の正確性や更新性を保ち、問い合わせ内容に応じて適切な担当者へ引き継げる運用を設計することです。  医薬品情報、適正使用情報、安全性情報などを整理し、医療従事者が迷わず必要な情報へたどり着ける導線
づくりが必要になります。

 

データを活用し、情報提供を継続的に改善する
デジタルチャネルの活用により、どのコンテンツが閲覧されたか、どのテーマへの関心が高いか、       どのような問い合わせが多いかを把握しやすくなります。これらのデータを分析すれば、           医療従事者のニーズに合わせてコンテンツや対応体制を改善できます。
ただし、データ活用に当たっては、個人情報保護や関連ガイドラインを踏まえた適切な管理が前提です。     利便性だけでなく、安全性と信頼性を両立させることが、医療分野の情報提供では不可欠です。


「届ける」から「活用される」情報提供へ
2026年度診療報酬改定は、医療 DX を情報基盤の整備から実際の連携・活用へ進める内容となりました。   製薬企業にとっても、情報を一方的に届けるだけではなく、医療従事者が必要な場面で活用できる形に整えることが重要です。
対面とデジタルを組み合わせ、コンテンツ制作、問い合わせ対応、データ分析までを一体的に設計することが、 これからの情報提供活動の競争力につながります。


この記事の作者:ウェルネスの空 編集部

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