地域包括ケアシステムとは? システムの構成要素や役割について解説

地域包括ケアシステムは、地域の特徴に合わせた介護と医療、生活などを一体的サービスで地域に提供することを目的としたシステムです。少子高齢化が急速に進む中、長年住んだ土地で最期まで高齢者が生活できるよう支えて行くことは、今後の重要な課題といえます。本記事では、地域包括ケアシステムの役割や背景、5つの構成要素、支える4つの助を解説します。

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地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、高齢社会における医療や介護サービスのみならず、生活面におけるサポートまでを地域で包括的に高齢者へ提供する体制のことです。ここでは、地域包括ケアシステムの役割および必要な背景について解説します。

地域包括ケアシステムの役割

地域包括ケアシステムは、できる限り住み慣れた地域で自分らしい生活をその時まで続けられるよう、地域の中で助け合うための仕組みです。各地域において「住まい」「生活支援」「介護」「医療」「予防」が一体となり、介護保険制度と医療保険制度の二つの分野で高齢者を支えます。

厚生労働省では、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、地域包括ケアシステム構築の実現を目指しています。このシステムの実現には、国家的サービスだけではなく、各地域の自主性に基づいて作り上げることが重要です。地域包括ケアシステムでは、日常生活圏域(約30分以内で高齢者に支援できる範囲)単位での構築を想定しています。

地域包括ケアシステムが必要な背景

世界では類を見ない速さで少子高齢化が進む日本では、高齢者の増加が今後も予想されています。総務省統計局の推計によると、65歳以上の人口は、3,640万人(2021年9月現在)に達し、総人口に占める割合は29.1%と約3人に1人が高齢者というのが現状です。さらに、75歳以上の人口に絞り込むと1,880万人(総人口の15.0%)と前年から9万人増となりました。今後2040年には65歳以上の人口は約3,920万人(内75歳以上の人口2,239万人)と、増加傾向に歯止めがきかない状態です。
(参照元:https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1291.html

団塊世代(1947年~1949年生まれ)が75歳以上になる2025年以降は、介護や医療の需要が増えると想定されます。また、少子高齢化のうえ、核家族が主流の現代において単身高齢者の増加や、全国的な介護施設不足などの問題も、さらに深刻になるでしょう。このような背景から国は、医療及び介護を国家主体ではなく、自治体・地域が中心となって行うために地域包括ケアシステムを推し進めています。

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地域包括ケアシステム5つの構成要素

地域包括ケアシステムは、5つの要素で構成されます。「住まい」や「生活支援」といった生活における要素と、「介護」「医療」「予防」の専門性のある要素についてそれぞれ解説します。

住まい

「住まい」とは、自宅やサービス付き高齢者向け住宅などを指し、高齢者が終の棲家として暮らす場所のことです。賃貸住宅などの契約時には、保証人の確保など、手続き関係の支援も行います。住まいは生活する上でなくてはならない場であることから、地域包括ケアシステムのベースといえる要素です。

医療

「介護」では、訪問看護や訪問介護などの在宅生活を支援するための在宅系「医療」は、かかりつけ医や地域の連携病院、急性期病院や亜急性期・回復期リハビリ病院を指します。専門・先端医療や高度医療など緊急性を伴う病気の際は急性期病院や亜急性期・回復期リハビリ病院が、風邪など比較的軽症な医療はかかりつけ医や連携病院が担当します。もちろん、症状によってはかかりつけ医から急性期病院へ引き継がれますが、その際もスムーズな連携が行われます。そのためには日頃から関係機関同士での情報の共有が大切です。

介護

サービスと、介護老人福祉施設や認知症共同生活介護などへ通所・入所して行う施設・居住系サービスで対応します。介護でも医療と同様、介護を常時必要とする在宅系サービスでは対応できない状態となれば、入所施設に切り替えられます。

生活支援

「生活支援」は、活動の主体が自治体やボランティア、老人会、NPO法人の生活支援サービスです。イベントの開催や配食、買い物、見守り、安否確認などを行い、高齢者の生活を豊かなものにします。サービスの特性から専門性を要しない分野であり、自治体や業者以外にも、地域住民の積極的な参加・協力が望まれるサービスです。

予防

「予防」は、地域交流や社会参加などの場を提供し、家事援助や外出援助などの自立支援を行うサービスです。地域包括ケアシステムの要となる部分で、ここを充実させることで、身体的な衰えを防ぎ、健康的な生活を送れるようになります。このサービスの利用によって、要支援1や要支援2の高齢者でも自宅でも安心して暮らせるような体制を整えています。

地域包括ケアシステムのメリット

地域包括ケアシステムの良い点は、介護、医療、生活に関わる支援を地域で受けられることです。それに加えて、要介護や認知症の方でもそれまでどおり自宅で暮らせるという点にあります。また、高齢者の社会参加を促したり、活躍の場を与えたりすることで、地域の新しいサービスの誕生にも大きく貢献します。

医療と介護サービスの連携により、要介護者が医療ケアを必要とするとき、柔軟なサービスを提供できることも大きな利点でしょう。医療に依存する高齢者も、安心して自宅で変わらない生活を送れます。

地域包括ケアシステムを支える4つの助

地域包括ケアシステムは、「自助」「互助」「共助」「公助」の4つの助によって支えられます。

自助

基礎となる「自助」には、自分自身を助けるという意味があります。高齢者が自身でセルフケアをするということで、例えば、自分自身で介護予防に取り組むことや、健康維持のために健診を受けることなどが当てはまります。

セルフケアをする気持ちが自らを奮い立たせ、サービスに頼りすぎずにイキイキとした日々を送ることにつながります。

互助

「互助」は、個人的な関係を持った人同士で助け合うことです。例えば、ボランティア活動や自治会の活動などで繋がる人同士で、問題解決にあたります。介護業界において人材不足が叫ばれる中、近隣や家族間での助け合いなどの率先した支えは、地域包括ケアシステムになくてはならない重要なポイントです。

共助

「共助」には、介護保険などの社会保険制度や医療保険などのサービスがあてはまります。互助があくまで個人間の自発的な支え合いであるのに対して、共助は、医療・年金・介護保険といった公的制度による支えです。税収入がこの助の要になるため、少子高齢化が進む日本においては将来性の見込めない助といえます

公助

「公助」は、自助や互助、共助で対応不可能な事柄に対して、必要な生活保障を行う社会福祉制度のことです。生活保護や虐待対策など、個人では解決できない大きな問題にも対応できます。ただし、共助同様、公的制度のもと支援が行われることから、少子高齢社会では財源の確保が困難になりやすいです。自助や互助といった個人間でできる助のシステムをどのように拡充していくかが今後の地域包括ケアシステムのポイントといえるでしょう。

地域包括ケアシステムをサポートする民間企業のサービスとは

高齢者が住み慣れた土地で、医療や生活の支援を受けながら暮らせる地域包括ケアシステムは、これからの高齢社会の理想的なあり方の一つです。しかし地方では医師不足が顕著で、必要な医師や看護師をすべての地域に配置することは難しいでしょう。また、一人暮らしの高齢者は異変があった時に気付かれにくいという不安もあります。

そうした懸念材料を払拭するために有効なのが、IT技術などを活用した民間企業による各種の支援サービスです。以下に具体的なサービスをいくつかご紹介しましょう。

民間企業による見守りサービス

すでに個人向けにはさまざまな企業が高齢者の見守りサービスを提供していますが、自治体でも民間企業と連携し、高齢者の見守り事業を推進するところが出始めています。

生協や生命保険会社、コンビニエンスストアや運輸会社などが自治体と協力し、新聞がたまったり電気メーターの使用料が少なかったりすると自治体に連絡するという取り組みで、実際に孤独死を未然に防ぐなどの成果も上がっています。

また、人感センサーによる自動通報サービスや安否確認サービスを自治体向けに提供している企業もあり、そうしたサービスの導入によりさらに充実した地域包括ケアシステムの構築が可能になるでしょう。

電子カルテや医療情報の共有システム

高齢になると医療機関を受診する機会が増えますが、急性期病院とリハビリなどの回復期病院、薬局の連携ができていないと、適切な処置を行えない場合があります。そこで住民一人ひとりの持病や医療機関の受信状況、飲んでいる薬などの情報を複数の医療機関で共有しようというのが、このサービスです。これにより医療機関と介護施設、薬局などが連携を行え、地域住民の健康をトータルでサポートできます。

専門科による健康相談の委託事業

現地にいる看護師や医師の負担を減らすなら、栄養士や看護師、薬剤師などが在籍する民間企業に健康相談を委託するのも一つの方法です。アプリや電話、チャットボットなどを通じて栄養指導や服薬指導、生活習慣指導などを行うことにより、地域の高齢者の健康維持をサポートします。

気軽に専門家に健康相談を行えることにより、高齢者の安心感も増し、現地の医療従事者も専門的な処置が必要な患者に集中できます。

まとめ

地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護になっても安心して地域に住み続けられるよう、地域で支え合う仕組みです。これにより介護と医療の連携、生活の支えによって、必要なときに必要な支援を受けられる、柔軟なサービス体制を可能にしています。地域包括ケアシステムは、医療・介護・住まい・生活支援・予防の5つの要素で構成されており、自助・互助・共助・公助の4つの助で支えられるシステムです。

このシステムが生まれた背景には、急速に進む少子高齢化や、そのことで起こる介護施設不足、単身高齢者の増加にあります。国で支える仕組みから、地域で支える仕組みに移行することで、高齢者は住み慣れた地域で手厚いサービスが受けられ、安心して暮らせるようになります。一方で、地域には新たなサービスが誕生することも考えられ、地域の特性に応じ、さまざまな形の地域包括ケアシステムを生み出せます。

地域包括ケアシステムは、今後の高齢化社会における自治体や高齢者にとって、重要な役割を担うシステムです。
ベルシステム24では、コールセンター業務の特性を活かした専門家による栄養指導など、さまざまな健康関連委託業務を展開しています。ぜひ充実した地域包括ケアシステムの構築にもお役立てください。

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