ヘルスケア業界の現状と課題、今後注目の技術を紹介!

少子高齢化や新型コロナウイルス流行の影響を受けて、ヘルスケア業界の重要性と注目度は日増しに高まっています。最近は健康を促進するスマホアプリなど、異業種がヘルスケア業界に参入する動きも顕著です。本記事ではヘルスケア業界の現状と課題を解説するとともに、今後注目の技術を紹介しています。

ヘルスケア業界の現状と課題、今後注目の技術を紹介!

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ヘルスケア業界の主な事業

そもそもヘルスケア業界にはどのような事業領域が含まれるのでしょうか。

真っ先に思い浮かぶのは、病人の治療に直接携わる病院・クリニック・薬局などの医療事業者と、高齢者の支援をする介護事業者です。また、こうした医療・介護事業者と関係が深い業種として、医薬品の開発を行う製薬会社や、医療機器の開発を行うメーカーなどもヘルスケア業に含まれます。

さらに市販薬を販売するドラッグストアのほか、意外かもしれませんが、フィットネスジムなどもヘルスケア業界に含まれます。これはつまり、適度な運動習慣は健康維持に貢献すると考えられるからです。

同じ理由から、運動やダイエットなどの健康維持活動を支援促進するアプリ・ゲームの開発業もヘルスケア業界に含まれます。最近ではAI医療や遠隔医療なども普及してきたことから、ヘルスケア業界におけるIT分野の役割は年々拡大しつつあるのです。

このように、ヘルスケア業界は直接・間接に人々の健康に貢献する事業を広く包含しています。

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ヘルスケア業界の現状と課題

続いては、ヘルスケア業界の現状と課題について解説します。

市場規模は拡大傾向に

まず、ヘルスケア業界の市場規模についてです。現在、日本では超高齢化社会が進行しつつある上、新型コロナウイルスの影響により、ヘルスケア分野への関心が非常に高まっています。こうした現状を踏まえると、医療やヘルスケア業界が今後縮小していくとは考えにくいでしょう。
実際、みずほ銀行の産業調査では、日本国内におけるヘルスケア産業の市場規模は2018年時点で55.3兆円だったのが、2040年には100兆円規模にまで拡大すると予想されています。
(参照元:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1065_09.pdf

なお、この試算に組み入れられているのは、病院等の「医療サービス分野」と医薬品・医療機器の開発メーカーからなる「医療関連事業」だけで、ITなどの異業種が関わってくる分野は含まれていません。現在、ヘルスケア業界においてもITやデジタル技術を活用した大きなイノベーションが起きつつある現状を踏まえれば、広い意味でのヘルスケア業界の市場規模は上記の試算よりもさらに巨額なものになるでしょう。

ヘルスケア業界の課題

上記のように、日本のヘルスケア業界は大きな成長の可能性を秘めています。しかし、このことは同時に、日本がヘルスケアの分野において大きな課題を抱えていることを示しているとも言えるのです。

その課題の代表格が、増え続ける国民医療費です。経済産業省の調査によれば、少子高齢化が進行する日本において国民の医療費は年々増え続けており、2011年には約39兆円だったのが、2025年には約60兆円にまで達すると予想されています。

国民医療費の中で、「医科診療医療費」の約3分の1(9.8兆円)は生活習慣病に関連するものです。ここは、ヘルスケア産業のうち、保険外の予防・健康管理関連サービス産業が伸びていくことで、医療費削減へつながるとみられています。

こうした中、現在政府は国民の健康意識の改革に力を入れています。というのも、医療費を節減するには、国民一人ひとりが自らの心身の健康へ適切に配慮し、健康を維持することが何よりも大事と考えられるからです。つまり、これからの時代は単に平均寿命を延ばすだけでなく、通院や介護を要さない健康寿命の延伸に力を入れねばなりません。このような課題意識から、現在では日常の健康維持に役立つスマホアプリの開発や、後述する健康経営などの取り組みにも注目が高まっています。

ヘルスケア業界で今後注目される技術

続いては、上記の課題とも関連してヘルスケア業界で今後重要になってくる技術や取り組みについて解説します。

遠隔医療サービス

第一に挙げられるのが、遠隔医療サービスです。遠隔医療サービスとは、スマートフォンなどのICT機器を活用して、オンラインで健康相談や診察を実施する医療サービスを指します。遠隔医療サービスは、新型コロナウイルスの流行によって導入する事業者が一挙に増えました。遠隔医療ならば、感染のリスクを冒さずにすむからです。遠隔医療が広まれば、医療費の削減や医師不足問題の改善も可能になるでしょう。

AIを活用した画像診断

次に挙げられるのは、AIを活用した画像診断です。多量の医療画像の診断は医師の負担が大きい業務ですが、AIの活用でその軽減と次に述べるプラスアルファが期待できます。今日の医療AIはディープラーニングによって、人の目では発見が難しい微細な病変も特定できるようになっています。AIの画像診断を活用することで、医師は患者の病気を従来よりも早期に発見し、適切な初期治療が可能です。また、一刻を争うような場面でも正確な情報を医師が得ることで迅速な治療が行えます。

AIは画像診断以外でも、健康データの収集・分析、オンライン診療や医療事務のサポートなど、医療現場において様々な用途で活用が広がってきています。上記同様に医療費や医師不足の問題にも関連するため、AIの活用は今後必要不可欠と言えるでしょう。

カルテの電子データ化

カルテの電子データ化も注目の技術のひとつです。ICT活用の一環として、現在医療現場では電子カルテの導入が進んでいます。カルテを紙からデジタルに変えるメリットとしては、医師の診断業務の効率化をはじめ、医療データのアクセス性や管理のしやすさの向上、人の手によるミスの防止などが挙げられます。AIの活用を進めていく上でも、医療データをデジタルで蓄積していくことは欠かせません。また、将来的に地域の医療ネットワークの構築が進めば、ネットワークを通じて他の医療機関と患者データを適宜共有し、連携していくことも可能になるでしょう。

健康経営

健康維持のための組織的戦略として、「健康経営」も非常に注目を集めています。健康経営とは、政府が企業に推奨している取り組みのひとつで、従業員の健康を経営的視点から考えて、その管理維持を戦略的に実施することです。健康経営を推進する企業は、従業員の健康や安全性に配慮した職場環境や制度を整備し、従業員が心身ともに健康的に働き続けられるように取り組みます。

健康経営は企業にとってもメリットがある取り組みです。その主なメリットとして、従業員の医療費の事業主負担を軽減したり、従業員の病休などが少ない安定した組織運営を可能にしたりすることが挙げられます。また、従業員のエンゲージメントや労働生産性の向上、自社のブランドイメージの改善なども期待できるでしょう。

まとめ

本記事で紹介したように、ヘルスケア業界には直接患者や要介護者の治療・支援をする医療・介護事業以外にも様々な業種が含まれます。特に最近では新型コロナウイルス流行の影響もあり、IT・デジタル関係の異業種企業がヘルスケア事業に参入する事例が増えてきています。

また、高齢化に伴う医療費の増加や、国民の健康への意識の低さという課題を抱える社会に対し政府も改革の取り組みを行っており、健康に関連するヘルスケア業界も大きく関係しています。

AIを活用する遠隔医療サービス、画像診断、カルテの電子データ化が今後注目される技術であり、また企業においては健康経営への積極的取り組みが強く期待されています。

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