ヘルステック業界の将来性とは？課題や注目テクノロジーを紹介

昨今ではIT技術の発展により、医療現場でもテクノロジー技術を活用してさまざまなサービスを提供する「ヘルステック事業」が展開されています。しかし「ヘルステック業界の現状はどうなの？」「ヘルステック業界の将来性は？」といった疑問を抱えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、ヘルステック業界の将来性や課題、注目を集めているテクノロジーについてまとめました。ヘルステック業界について興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

ヘルステックとは

ヘルステックとは、ヘルス（Health）とテクノロジー（Technology）を組み合わせた言葉です。人工知能やウェアラブルデバイスなどのテクノロジー技術を病気の予防や治療といった医療分野の課題解決に役立てることを指します。

従来までの病気の治療は患者自身が感じている体の不調を医師に報告し、その内容をもとに診察を行った後に、薬を処方するといった流れが一般的でした。しかし、現代ではさまざまな病気が存在するため、同じ体の不調であっても人によって病気が異なることもあるでしょう。

つまり、従来までの治療方法では正確な病気を特定することが難しくなってきているといえます。このように、正確な病気を特定することが困難になっているなどの理由から、ヘルステックは注目を集めているのです。

ヘルステック業界の現状

ヘルステック業界は、2018年5月11日に施行された「次世代医療基盤法」により、医療データを利活用できるようになったことから伸展しています。次世代医療基盤法とは、本人を特定できないように医療情報の匿名加工処理を行ってから、今後の健康促進や研究開発のためにデータを利活用する法律のことです。

また、新型コロナウイルスの影響を受けて、オンラインを活用したサービスの需要も拡大しています。例を挙げると、いつでも医師にチャットで相談できるLINEの公式アカウントは感染拡大防止のメリットがあるほか、気軽に利用できることから多くの人の支えとなりました。

そして、経済産業省によるとヘルステック業界を含むヘルスケア業界は、2025年で約33兆円の市場規模になると予想されています。 さらに、ヘルスケアサービスの利活用に向けた「認知症予防対策の社会実装」や「グローバル・ヘルスケアマッチング」などといった取り組みも進められています。

ヘルステック業界の将来性は？

続いて、ヘルステック業界の将来性について見ていきましょう。「2025年問題」が起きると考えられていることから、ヘルステックでの健康維持が期待されています。2025年問題とは、超高齢社会の到来が原因で「医療現場の逼迫」や「労働力不足」などといったさまざまな影響が生じる問題のことです。

2025年問題を回避するためには、ヘルステックは必要といえます。また、ヘルステック業界はテクノロジー技術の進歩によって年々盛り上がりを見せており、異業種からも注目を集めています。テクノロジーの進歩や2025年問題の解決を踏まえると、ヘルステック業界の将来性は十分にあるといえるでしょう。

ヘルステック業界に参入するメリット

ヘルステック業界に参入することで、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。特に知っておきたい2つのメリットを下記で解説していきます。

市場が広い

ヘルステック業界に参入するメリットとして、幅広い市場であることが挙げられます。現代では、食生活の乱れや運動不足による生活習慣病、うつ病や双極性障害による精神疾患などが増加しています。また、テレビやネット記事でも予防医療への話題について取り上げられているため、予防医療への興味・関心が高まっているのです。

このような背景から、より健康的に生活するためのサービスを利用したいと思っているユーザーは多いと考えられるでしょう。

参入しやすい

ヘルステック業界では、参入障壁が低いのも大きなメリットです。参入しやすい理由として「クラウド」「人工知能」といったIT技術が進歩していることや政府が方針を整備してくれていることなどが挙げられます。また、新型コロナウイルスの影響から、多くの人の健康志向が高くなっている点も考えられます。

さらに、ヘルステック事業に取り組むことで、SDGsの目標として掲げられている「すべての人に健康と福祉を」にも貢献できるので、企業の社会的評価にもつながるでしょう。

ヘルステック業界における課題

総務省の「COVID-19パンデミック前後における遠隔医療の普及と課題」の中で、日本の遠隔医療における点数の低さが課題として指摘されています。 日本のヘルステック事業が遅れている理由として、下記の要因が大きく関係していると考えられます。

• データベースやシステムの構築が遅れていること
• 日本人の医師に対する信頼度が厚く、専門性よりもサービスの満足度が重視されていること
• 医療にAIを活用することへの不安を感じていること

上記の要因を解決しない限り、日本のヘルステック事業における成長は難しいといえるでしょう。

ヘルステックで注目されているテクノロジー

ここでは、ヘルステックで注目を集めているテクノロジー商品やサービスを3つご紹介していきます。

スマートウォッチ

スマートウォッチとは、健康管理をするためのウェアラブルデバイスのことで、実際に利用しているという方も多いのではないでしょうか。スマートウォッチを活用すれば自身の心拍数に加えて、1日の歩数や睡眠の質、消費カロリーなどを正確に把握できます。

スマートウォッチは自分で健康管理をするのに役立つものとして、ヘルステックで注目を集めているテクノロジーです。

電子版のお薬手帳

電子版のお薬手帳とは、服薬情報をクラウドに保管できるヘルステックを活用したサービスのことです。電子版のお薬手帳を活用することで、医師がスムーズに服薬情報を確認できるようになり、ユーザーもスマートフォンからいつでも確認できます。

そして、クラウドサービスであれば場所を問わずにアクセスできるだけでなく、プログラミングのような専門知識も不要なので安心です。また、セキュリティ対策がきちんと施されているのも魅力だといえるでしょう。

オンライン診断

オンライン診断とは、スマートフォンやパソコン、タブレットなどから診断を受けられるサービスです。新型コロナウイルスの感染防止対策としても効果的で、忙しくてなかなか時間の取れないビジネスパーソンにも利用してもらいやすくなるでしょう。

また、オンライン診断を活用することで、近くに病院がなくて悩みを抱えている人の問題解決にもつながります。さらに、医師が専門外の治療内容を外部の専門医に尋ねることも可能です。

まとめ

ヘルステック業界の将来性や課題、注目を集めているテクノロジーについて解説しました。ヘルステック事業は、市場が広いことに加えて、参入しやすいことから将来性は十分にあります。実際に、スマートウォッチやオンラインによる診断などは多くの人に活用されています。しかし、日本は海外と比べて遠隔医療の導入が遅れていることも事実です。そのため、ヘルステック事業の成長が今後の課題となる可能性は高いでしょう。