健康経営優良法人2024の申請受付開始、変更点のポイントとは?

経済産業省は、従業員らの健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践する「健康経営」を推進する法人を日本健康会議が認定する「健康経営優良法人2024」の申請受け付けを8月21日から開始しました。例年通り、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門別に分け、それぞれの上位法人500社は「ホワイト500」「ブライト500」に認定されますが、いくつかの変更が行われています。この記事では、どういった点が変更されたのか、そのポイントについて解説します。

健康経営優良法人2024の申請受付開始、変更点のポイントとは?

健康経営とは何か? 認定制度や取り組み方法についても解説

健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度は、健康経営を実践している企業等が社会的に評価される環境を整備することを目的に、企業規模別に「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門において、「健康経営優良法人」を日本健康会議が認定する制度です。大規模法人部門は、23年度健康経営度調査の回答に基づき、要件の達成状況を判定し、上位法人500社は、「ホワイト500」として認定されます。また、中小規模部門は、認定申請書の内容に基づき、要件の達成状況を判定し、上位法人500社は、「ブライト500」として認定されます。

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健康経営度調査とは

健康経営度調査とは、法人の健康経営の取組状況と経年での変化を分析するとともに、「健康経営銘柄」の選定及び「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定にあたっての基礎情報を得るために実施される調査です。
認定の前提となる同調査への回答法人数も年々増加しており(昨年度は3,169法人)、特に日経平均株価を構成する225銘柄の8割を超える企業が回答するなど、各業界のリーディングカンパニーの多くが経営戦略の一つとして健康経営に取り組んでいます。

23年度調査のポイント

23年度は、主に以下の点について変更が行われています。 

①情報開示の促進

人的資本に関する非財務情報の開示・評価の動向を踏まえつつ、健康経営の質の向上を図るため、特定健診・特定保健指導の実施率や、業務パフォーマンス指標の測定及び開示を評価対象とし、さらに、労働安全衛生・リスクマネジメントの開示状況について問う設問が追加されました。
例えば昨年度調査において、業務パフォーマンス指標に関して「測定方法」及び「複数年度分の測定結果」の設問に対して、既に一定数の企業が開示に取り組んでいる状況であることが分かっており、今年度は、「業務パフォーマンス指標とその測定方法」を開示していることを評価対象とし、ホワイト 500に関しては認定要件とすることとなりました。
図1:業務パフォーマンス指標の開示
業務パフォーマンス指標の開示
引用元:2023年7月18日開催「第9回 健康投資ワーキンググループ」提出資料

また、国際的な開示基準の動向等を踏まえ、健康経営の推進目的・体制だけでなく、健康経営に取り組むにあたっての土台である、労働安全衛生・リスクマネジメントの開示状況も求めています。
図2:健康経営の推進に関する開示

健康経営の推進に関する開示

引用元:2023年7月18日開催「第9回 健康投資ワーキンググループ」提出資料

②社会課題への対応

子育てや親の介護、女性特有の健康課題等による従業員の心身の負担が社会的な課題となっていることを踏まえ、従業員の業務パフォーマンスを最大化し、組織の活力を高めるため、個別事情に応じた柔軟な働き方や生産性低下防止に関する設問が新たに追加されました。
図3:育児または介護と就業の両立支援のための取組み
育児または介護と就業の両立支援のための取組み

引用元:2023年7月18日開催「第9回 健康投資ワーキンググループ」提出資料

③健康経営の国際展開

健康経営の国際的な普及促進の検討にあたり、海外駐在員や現地法人の健康増進、健康課題への対応状況について把握することを目的とした設問が追加されました。ただし、この設問は評価には求めないとしています。
図4:グローバルでの健康経営の取組み
グローバルでの健康経営の取組み
引用元:2023年7月18日開催「第9回 健康投資ワーキンググループ」提出資料

この他にも、女性の健康課題に取り組む企業をより一層促進するため、関連施策への参加状況を開示しているかどうかが評価の対象となりました。特に、「女性の健康課題に関する認知向上のための取組」、「及び行動変容促進の取組」の設問への回答は認定要件となり、企業の女性特有の健康課題への取組みは、健康経営推進の必須事項となります。

回答企業へのフィードバック

健康経営度調査に回答した大規模法人部門に対し、引き続き、全法人における評価順位や偏差値等を記載したフィードバックシートの交付が行われます。また、今年度から、中小規模法人の更なる裾野拡大を目指すとともに、既に取り組んでいる法人にとっても、より健康経営の取組を強化してもらうため、ブライト500申請法人に対しても、結果のフィードバックが行われます。次年度以降、中小規模法人に申請する全法人に対してフィードバックを行うことが検討されており、中小規模法人にとって、自社の取組みがどの位置にあるのかを客観的に知ることができます。

今後のスケジュール

健康経営度調査回答期間は8月21日から10月13日まで、中小規模法人部門の認定申請期間は8月21日から10月20日までとなっています。例年通り24年3月頃に認定されます。
図5:健康経営優良法人認定までのスケジュール 
health-and-productivity-management-2024-5健康経営優良法人認定までのスケジュール

参照元: Action!健康経営

まとめ

健康優良法人制度は、従業員の健康管理や健康増進の取り組みについて、特に優良と認められた法人を認定する制度ですが、大規模法人、中小規模法人ともに認定要件のハードルは高くなっており、従業員全員が制度の主旨を理解し取り組んでいく事が重要です。
一方、認定を得ることで、従業員の意識が変わり、企業としての業績向上に繋がることや、健康を大切にする企業としてステータスが向上するだけではなく、優秀な人材の確保、さらには様々なインセンティブを受けることが可能となります。

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