健康経営優良法人とは? 制度内容や認定要件、メリットを解説

従業員の健康に配慮した経営を行う法人を選出・表彰する「健康経営優良法人認定制度」をご存知でしょうか。この記事では、制度の概要や認定要件などに触れながら、健康経営優良法人とはどのような制度なのかをくわしく紹介します。

健康経営優良法人とは? 制度内容や認定要件、メリットを解説

健康経営とは何か? 認定制度や取り組み方法についても解説

健康経営優良法人とは?

「健康経営優良法人」とは、経済産業省が定めた認定制度「健康経営優良法人認定制度」で与えられる称号です。地域の健康課題に合った取組みや、健康増進にまつわる取組みをしている企業のなかから、特に優良な法人が選ばれます。大企業向けの「ホワイト」と中小企業向けの「ブライト」に部門が分かれており、非上場企業でも認定を受けることが可能です。

健康経営優良法人認定制度が設立された背景には、働き方改革の促進が挙げられます。近年、長時間労働やパワハラ、劣悪な労働環境などを改善し、働き方を見直そうとする働きが多くの企業で見られています。そのような情勢を受け、従業員の健康に配慮した経営を行う企業を社会的に評価するために、2016年に創設・開始されました。なお、2017年には中小規模法人部門が開始し、企業の規模にかかわらず認定を受けられるようになりました。

参考:経済産業省|健康経営優良法人認定制度

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健康経営優良法人制度は2部門制

健康経営優良法人制度は、大企業向けの「ホワイト」と、中小企業向けの「ブライト」の2部門があります。業種によって基準となる従業員数が異なるため、まずは自社がどちらの対象となるかを確認しましょう。

大規模法人部門(ホワイト・ホワイト500)

大企業向けの制度は「ホワイト」と呼ばれています。さらに、エントリーした大企業のなかから特に優良な上位500社を選出したものが「ホワイト500」です。

区分の基準は従業員数によって決まっており、業種によって人数が異なります。たとえば、ホワイトの対象となるのは以下のような企業です。

  • 製造業その他
    従業員数:301人以上

  • 卸売業
    従業員数:101人以上

  • サービス業
    従業員数:101人以上

  • 小売業
    従業員数:51人以上

参考:経済産業省 部門の区分

中小規模法人部門(ブライト・ブライト500)

中小規模向けの制度は「ブライト」と呼ばれています。さらに、エントリーした中小企業のなかから特に優良な上位500社を選出したものが「ブライト500」です。

区分の基準となる人数は、ホワイトと同様に業種によって異なります。たとえば、ブライトの対象となるのは以下のような企業です。

  • 製造業その他
    従業員数:1人以上~300人以下
    資本金または出資金額:3億円以下

  • 卸売業
    従業員数:1人以上~100人以下
    資本金または出資金額:1億円以下

  • サービス業
    従業員数:1人以上~100人以下
    資本金または出資金額:5,000万円以下

  • 小売業
    従業員数:1人以上~50人以下
    資本金または出資金額:5,000万円以下

参考:経済産業省 部門の区分

健康優良法人の認定要件

企業規模によってホワイトとブライトに分かれているものの、認定要件の大項目は同じです。しかし、満たすべき項目はホワイトの方が多く、やや厳しいかもしれません。ホワイト・ブライトの認定要件の大項目は以下のとおりです。

  1. 経営理念・方針
  2. 組織体制
  3. 制度・施行実行
  4. 評価・改善
  5. 法令遵守・リスクマネジメント

ホワイト・ブライトどちらも④⑤の項目は必須要件で、健康経営の効果検証や定期検診、50人以上の事業場におけるストレスチェックなどは必ず行わなければなりません。また、③は「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」に分かれており、さらに細かく項目が設定されています。ホワイト・ブライトによって必須項目や満たすべき項目の数などが異なるため注意しましょう。

なお、ホワイト・ブライトどちらも専用のポータルサイトで申請でき、インターネット上でのエントリーが可能です。

参考:ACTION!健康経営
参考:経済産業省|健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定要件
参考:経済産業省|健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件

健康経営優良法人に選ばれるメリット

健康経営優良法人に認定されると、企業イメージの向上や優遇措置、人材確保、生産性向上などのメリットが期待できます。

企業イメージの向上につながる

健康経営優良法人は、特に優れた健康経営を行っている限られた企業に贈られる称号です。認定を受けると経済産業省のホームページに社名が記載され、認定ロゴマークが付与されます。ロゴマークは企業が発行する広報物などに自由に掲載できるため、健康経営に積極的に取り組んでいることを社外にアピールすることも可能です。取引先や株主、顧客などのステークホルダーへの客観的な証明となり、企業イメージの向上につながります。

さまざまな優遇措置がある

健康経営優良法人の認定を受けると、さまざまな優遇措置を受けられます。地域や自治体、機関などによりますが、インセンティブの種類は以下のとおりです。

  1. 金融機関からの融資が優遇される
  2. 補助金を利用できる
  3. 公共調達(入札)で加点される
  4. 保証料の割引がある

たとえば、大分県では認定を受けている中小企業・小規模事業者に対して特別利率・保証料率で融資を行う制度があります。また、一部の保険会社では、認定を受けている法人に対して保険料の割引などを行っています。このような優遇措置を実施する企業は年々増加しており、企業にとってさまざまなメリットが期待できます。

参考:経済産業省|健康経営の推進についてP 123

人材確保で有利になる

健康経営優良法人の認定を受けることで、従業員の心身の健康に配慮する企業であることを客観的に証明できます。いわゆる「ホワイト企業」であるお墨付きを国から得ている状態のため、採用活動をスムーズに進めることが可能です。

近年、企業に求める条件のなかでも、働きやすさや職場の雰囲気、ワークライフバランスなどを重視する求職者が増加しています。求職者にホワイト企業であることを知ってもらえれば、応募者の母数を増やす効果が期待でき、ひいては優秀な人材の確保に寄与します。

生産性を向上させられる

従業員の健康状態は、集中力やモチベーションなどに影響をあたえます。体調や精神面に不調がある社員が増加し、仕事を休む、会社を退職するといったことにつながれば、業務スケジュールに影響が出るかもしれません。また、長時間労働やパワハラなどで企業に対する不満がたまり、社員のモチベーションが低下する懸念もあります。

従業員ひとりひとりが健康でいることは、結果的に企業の生産性向上につながります。また、働きやすい職場をつくることで優秀な人材が定着し、採用や教育などのコストを削減できます。

まとめ

健康経営優良法人とは、経済産業省が認定制度によって与えられる称号です。「従業員の健康課題を把握しているか」「具体的な施策を行っているか」などの複数の項目によって評価され、優良な健康経営を行っている法人が認定されます。大企業向けの「ホワイト」と中小企業向けの「ブライト」に分かれているため、自社がどちらに該当するのかをあらかじめ確認しましょう。

健康優良法人に認定されると、生産性向上や人材確保、自治体・金融機関による優遇措置など、さまざまなメリットがあります。また、ホワイト企業であることを客観的に証明する指標になるため、企業イメージの向上にも効果的です。

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