【2023】健康経営銘柄に選定されるメリットとは? 企業一覧と選定基準

企業の生産性向上にあたって、従業員の健康は無視できません。従業員の健康管理に力を入れつつ、企業が経営上もメリットを得られるように用意された制度が「健康経営銘柄」です。この記事では健康経営銘柄とはどういう制度で、選ばれればどのような利点があるのかを解説します。

【2022】健康経営銘柄に選定されるメリットとは? 企業一覧と選定基準

健康経営とは何か? 認定制度や取り組み方法についても解説

健康経営銘柄とは健康経営に力を入れている企業のこと

健康経営銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業のうち、健康経営に注力している企業を東京証券取引所と経済産業省が共同で選定する制度を指します。また、健康経営とは、経営的な視点に立って従業員の健康管理を戦略的に行うことです。

本制度の趣旨は、従業員の健康管理に配慮している企業を魅力的な投資先として投資家へ紹介し、それにより健康経営の取り組みを促進することにあります。従業員の健康管理を適切に行うことが経営上も有利に働くのであれば、多くの企業は積極的に健康経営を目指すでしょう。健康管理への投資がなされれば、従業員の活力向上や生産性の向上などにもつながると期待されます。

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健康経営銘柄を目指すメリット

健康経営銘柄として選出されることには、企業側にも複数のメリットがあります。

まず、従業員の健康不安が解消・改善されることによる生産性の向上です。従業員が傷病を負っていると十全な働きは望めません。健康であればこそ、個々人の能力も問題なく発揮できます。実際、経済産業省が公開した資料によれば、自社の健康投資が高レベルだと感じている人のほうが、仕事のパフォーマンスは良好であるとされています。

参照元:経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」(P.51)

次に、離職率の低下です。健康経営には職場環境の改善や人間関係の円滑化なども含まれるため、従業員が定着しやすくなります。上述の経済産業省が公開した資料では、離職率の全国平均が10.7%であるのに対し、2022年の健康経営銘柄に選出された企業では離職率が2.5%と、4分の1ほどとなっています。

参照元:経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」(P.39)

さらに、従業員の健康に配慮しているとのイメージが強まることで、企業としてのブランド力向上も期待できます。健康経営に関してメディアなどへの露出が増えれば、自社アピールの機会も増えるでしょう。これらは、投資家からの企業評価を高めることにもつながります。

【2023】健康経営銘柄に選定された企業一覧

2023年3月に公開された「健康経営銘柄2023」には、32業種から49社が選ばれました。
ここでは選定回数が上位の企業を5社ピックアップし、各社の取り組みを紹介します。

  • SCSK株式会社(9回)
    健康経営の持続的な推進のために、健康ポータルでの施策の周知、アンケートの実施・分析などの効果検証、施策への反映を行い、社員の行動習慣や生産性などの面で成果が見られました。今後もこの好循環サイクルを回し、「Well-Being経営」の実現を目指しています。
  • TOTO株式会社    (8回)
    健康リスクを層別し、高リスク層には産業医面談、中・低リスク層には特定保健指導、健康層には定期健診やセルフケア研修などと、階層ごとにきめ細やかな施策を実施していいます。また、メンタルヘルス対策も同様に行っています。さらに、ウォーキングイベントなどの健康増進活動も行っており、社内SNSを活用してイベントを盛り上げています。
  • 東京海上ホールディングス株式会社(8回)
    「東京海上グループ健康憲章」を制定しており、グループ全体で健康経営の推進に取り組んでいます。具体的には健康増進キーパーソンが連携して、全員参加型イベント「健康チャレンジ」を実施・継続しています。その他にも、健康増進月間やラジオ体操などさまざまな施策を実践しており、社員とその家族の健康増進に努めています。
  • リコーリース株式会社(7回)
    社員の健康こそが経営の基盤だとする「健康宣言」を発表し、健康経営のための施策を展開しています。具体的には喫煙ルールの策定、社員の生活習慣チェック・医療スタッフによるフォローなどを行っており、不調者の減少やエンゲイジメントの向上といった成果が出ています。
  • アサヒグループホールディングス株式会社    (6回)
    会社と社員が一丸となって安心安全な職場を実現するための約束が健康経営方針に盛り込まれています。グループ会社内で会社・事業所別に健康レポートを作成し、健康経営推進のPDCAサイクルを回しています。本年度は、特定保健指導において社員が自ら取り組みたいプログラムを選択できるようにすることで実施率が前年比で1.7倍と大きく改善しました。

出典:経済産業省「健康経営銘柄2023」に49社を選定しました!

健康経営銘柄の選定基準は3つ

健康経営銘柄の選定は2段階で実施されます。まず経済産業省が行うアンケート調査への回答結果をもとに銘柄選定候補を選出し、それからスクリーニングや加点などを行った上で選定するという流れです。

2022年まで健康経営銘柄として選ばれるには、アンケート調査(健康経営度調査)に回答したことを前提として、少なくとも以下に示す4つの基準を満たしている必要がありました。

  1. 重大な法令違反等がない。
  2. 健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である。
  3. ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していない企業を対象とし、ROEが高い企業には一定の加点を行う。
  4. 前年度回答有無、社外への情報開示の状況についても評価し、一定の加点を行う。

加えて、「健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業から、1業種1社を基本として選定」という基準も加わりました。

出典:経済産業省「健康経営銘柄2023」に49社を選定しました!

健康経営銘柄になるための取り組み

健康経営銘柄への選定を目指すにあたり、企業が行うべき取り組みを4つ紹介します。

e-ラーニング

場所・時間を問わずに情報伝達ができるe-ラーニングは、さまざまな健康情報の共有に便利です。たとえば、がんについての知識や予防方法、たばこの害について学んでもらえるでしょう。ウォーキングや禁煙などの推進にあたって、活動の利点を周知させる際にも有効です。

生活習慣の見える化

健康管理のためには、現状把握も重要です。一日の活動量や睡眠時間を見える化することで、従業員の抱えている健康上の課題が可視化され、対策しやすくなります。健康経営に向けた取り組みの効果分析にあたっては、経済産業省の「健康投資の見える化」検討委員会が示した枠組み、「健康投資管理会計ガイドライン」を活用するのもおすすめです。

参照元:経済産業省 「健康投資管理会計ガイドライン」を策定しました

社内コミュニケーションの促進

生産性を妨げる要因のひとつに、コミュニケーション不足や行き違いが挙げられます。社内コミュニケーションを促進することで、生産性の向上も望めるでしょう。また、気軽に発言や会話ができるようになれば人間関係が円滑化し、職場環境の改善も見込めます。

社内スポーツジムの設置

これは健康経営銘柄にも選出されたアネスト岩田株式会社などで、実際に行われている取り組みです。同社では40歳以上の従業員にBMIが高い人が多かったことから、社内スポーツジムを開設するなどした結果、適正体重を維持する従業員の増加につながっています。

まとめ

健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場企業の中から健康経営に力を入れている企業を選定し、投資家に紹介することで、間接的に健康経営の取り組みを拡大しようとする制度です。健康経営銘柄への選出には、生産性の向上や離職率の低下、ブランド力の向上といったさまざまなメリットがあります。

健康経営銘柄を目指すためには、従業員の健康状態の管理・把握が不可欠です。健康管理を容易にする方法として役立つのが、ベルシステム24が提供する「オンライン食事・栄養指導ソリューション」です。コンシェルジュによって食事や栄養に関するアドバイスやサポートを行い、従業員の健康を実現します。

そのほか、健診受診率向上や健康状態の可視化・課題に対する改善(健康相談、保健指導、リテラシー向上など)に向けたソリューションの活用もおすすめです。

参照元:Bell System24

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