男性更年期障害(LOH症候群)の症状は? 社内環境を改善し病気を予防

更年期障害は女性のイメージが強いですが、実は男性にも更年期障害が存在するのをご存じでしょうか。本記事では男性更年期障害の主な症状や原因、仕事への影響などについて解説します。さらに男性更年期障害の予防や改善のために企業ができる環境づくりについて紹介します。

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男性更年期障害(LOH症候群)とは

まずは男性更年期障害の主な症状や原因などについて詳しく確認していきましょう。

症状

男性更年期障害の主な身体的な症状としては、筋力低下や筋肉痛、関節痛、異常発汗、頭痛、ほてり、めまい、耳鳴り、頻尿などが挙げられます。さらに男性特有の症状として、性欲の減少といった生殖機能に関係する不調があります。

一方、精神症状としては意欲や興味の減退、集中力や記憶力の低下、イライラ、不眠、うつ症状、不安症状などがみられます。

ただし症状は人によって異なり、以前は「加齢による不調」として放っておく方もいましたが、放置すると重症化するおそれがあるため、男性更年期障害が疑われる場合には、泌尿器科や男性専門医療機関を受診するようにしましょう。

原因

男性更年期障害はテストステロンが減少することによって起こります。テストステロンとは筋肉や骨を強くしたり、性機能を正常に保ったりするのに関わる男性ホルモンのことです。一般的に10代~20代をピークに増えていき、40代以降から加齢とともに分泌量が減っていきます。

そして男性更年期障害は、この加齢によるテストステロンの低下、または環境の変化や過度なストレスによってテストステロンが急激に低下して起こります。

そのため、仕事や家庭において責任を負うことが増えたり、ストレスが多かったりする40代~60代の男性が男性更年期障害に発症しやすい傾向にあります。

男性更年期障害の治療方法は、漢方や薬の処方、男性ホルモンの注射などいくつかありますが、症状の予防や改善のためには、適度な運動や質のよい睡眠など、規則正しい生活を心がけることが大切です。

仕事への影響

男性更年期障害は、仕事にさまざまな悪影響をおよぼします。

例えば、男性更年期障害が発症すると集中力や記憶力が低下するため、作業ミスが多くなることが考えられます。

また、やる気や意欲が減少するため、仕事のパフォーマンスが落ち、最悪の場合、仕事の失敗が続いて精神的につらくなり、離職する可能性もあります。

さらにちょっとしたことでイライラしやすくなるため、人間関係をこじらせてしまうことも考えられます。このように男性更年期障害は仕事に悪影響をおよぼす可能性が大いにあるため、企業には男性更年期障害に対する環境づくりが求められます。

隠れ男性更年期障害

男性の更年期障害は女性に比べてあまり知られていないため、症状があらわれていても自覚がない方も少なくありません。

男性更年期障害の診断・治療に明るい「Dクリニック東京・Dクリニック大阪」が、20代~50代の働く男性500名を対象に行った『働き方改革と健康に関するアンケート』及び、国際的に用いられる男性更年期障害のセルフチェック『AMSスコア』によると、軽度・中等度・重度の男性更年期障害の可能性がある方が約60%にのぼり、働き盛りの男性の一定数が「隠れ男性更年期障害」であることがわかりました。

また、『働き方改革と健康に関するアンケート』において質問したところ、働き方改革で「残業時間が減った」と70%以上の方が回答したのにも関わらず「働きやすくなったと感じる」と答えた割合は半分にも達しませんでした。むしろ「働き方改革以降、仕事で感じるストレスは増えましたか」という質問に「とても増えた」「どちらかというと増えた」という回答が半数にのぼり、形式的な働き改革の導入によって「隠れ男性更年期障害」が高まっている可能性があります。

「Dクリニック東京・Dクリニック大阪 メンズ 男性更年期専門外来」調べ
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000042910.html

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社内環境の改善ポイント

働き盛りの男性が更年期障害で仕事に支障をきたすことは、企業にとって大きな損失につながりかねません。そこでここからは、企業が男性更年期障害に対してできる社内環境の改善ポイントについて紹介します。

自己表現の場を設ける

テストステロンは承認欲求が満たされ、自信を持てるようになると高まります。そのために企業ができることは、従業員が自己表現できる場を設け、承認欲求が満たされる機会を増やすことです。例えば、仕事でうまくいった際には部内でほめあったり、相手に感謝の気持ちを伝えたりするなど、職場で「ほめる・感謝する」ことを根づかせることが大切です。このような環境づくりは男性更年期障害の改善だけでなく、従業員のモチベーションを上げるうえでも有効です。

また、サークル活動やボランティア活動など、仕事以外で従業員が生き生きと活動できる場を設けることも企業ができることの一つです。

運動する時間を設ける

テストステロンは良質な睡眠をとることにより分泌されます。寝つきをよくし、睡眠の質を高めるためには、適度な運動をすることが効果的です。特にこれまで運動をしていなかった方は、運動することにより、男性更年期障害の予防や改善が期待できるでしょう。

企業としてできることは、レクリエーションの一環として運動会を開催したり、講師を招いてヨガやストレッチの講座を開催したり、スポーツクラブの利用料やスポーツ用品の購入費用を補助したりなど、従業員が運動に取り組みやすい環境づくりを構築することです。運動は男性更年期障害だけでなく、肥満や成人病予防にも役立つのでおすすめです。

コミュニケーションを活性化する

過度なストレスは男性更年期障害の原因になります。仕事においてストレスはつきものですが、社内コミュニケーションが良好で、情報共有や連携がスムーズな職場であれば、従業員のストレスは軽減します。テレワークで社員同士が顔を合わせることが少なくなる中、コミュニケーションの機会を増やすことは難しいかもしれませんが、チャットやビデオ会議、情報共有ツールなどを活用し、気軽に相談ができる風通しのよい職場づくりを心がけましょう。

社食の栄養バランスを見直す

テストステロンの分泌を増やすためには、日々栄養バランスのよい食事をとることが大切です。そこで従業員の健康推進のために社員食堂を設けている企業であれば、うどんやカレーといった単品メニューを減らし、健康に配慮した栄養バランスのとれたメニューを増やすといいでしょう。

オフィスの雰囲気を改善する

オフィスのインテリアや照明、空調などの環境を整備することで、男性更年期障害の原因であるストレスの軽減が見込めます。改善するべき具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務内容に合った作業空間を準備する
  • 観葉植物や花など自然由来のものを置く
  • 目が疲れにくい照明にする
  • 冷房、暖房を使って適温を心がける
  • リラックスできるBGMをかける
  • 掃除や整理整頓に気をつかい、清潔で片付いた職場環境を心がける

さほどコストをかけずにできることも多いため、ぜひ実践してみましょう。

まとめ

男性更年期障害は、男性ホルモンであるテストステロンの減少により、心身にさまざまな症状を引き起こし、仕事においても悪影響をおよぼす可能性があります。そのため、企業はできるだけ男性更年期障害対策として社内環境を改善しておくことが求められます。

例えば、自己表現の場や運動する時間を設けたり、コミュニケーションの活性化を促したり、従業員がストレスなく業務に集中できるオフィス環境を整えたりすることが有効です。また、社員食堂のある企業においては、栄養バランスのよいメニューを提供することで食の面から貢献できるでしょう。

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