ヘルスケアビジネスとは?具体例と参入のメリット、課題を解説

昨今よく耳にするようになってきた「ヘルスケアビジネス」。一体どういう意味を指すのでしょうか。本記事では、ヘルスケアビジネスに取り組むことでどのようなメリットが生まれ、またどのような課題が生じるのかについてご紹介します。具体的な事例もあわせて参考にしてみてください。

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ヘルスケアビジネスとは

そもそもヘルスケアとは「health care」、つまり直訳すると「健康管理」という意味を表す言葉です。
しかし最近では、医療や医薬分野で提供されるサービスのほかに、健康維持や体調管理など幅広い意味も持ち合わせるようになってきました。医療における専門的な知識と、昨今のIT技術によるビッグデータを掛け合わせて、健康にまつわる課題を解決していくことこそが、ヘルスケアビジネスの目的といえます。

ヘルスケアビジネスとは
デジタルヘルスとは

ヘルスケアビジネスが注目されている背景

ヘルスケアビジネスはなぜ近年、注目を集めるようになってきたのでしょうか。
2019年3月に経済産業省が発表した「ヘルスケアサービス参入事例と事業化へのポイント」によると、同省は、2010年に地域でのヘルスケアや健康サービスの調査、新たなビジネスモデル構築を支える取り組みをスタートさせています。
その背景の1つ目として、日本の人口構造上、超高齢化社会に突入しているということが挙げられます。要介護者や慢性疾患患者が増えると、社会保障費が増大し公的財政を圧迫しかねません。そこで保険適用外のヘルスケアサービスを拡大させることで、国民の健康意識を高める役割が期待されているのです。
次に、医療保険者である事業者は、主にメタボリックシンドロームの検査項目で40~74歳の加入者を対象として、毎年度計画的に実施する「特定健康診査」を行うよう求められています。しかし、厚生労働省が2015年に行った調査では、5,327万人の対象者のうち未受診者は2,790万人にのぼり、未受診率は実に半数を超えている状況があります。
(参照:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/01metihealthcarepolicy.pdf
この中には本来健康指導を受けるべき人も含まれているため、早急にヘルスケアの重要性を意識し特定健康診査を受診してもらう必要があるのです。

3つ目の要因は、寿命についてです。内閣府が公開している「平均寿命及び健康寿命の推移」によると、2016年現在で、日本人の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年と年々延びています。しかし、健康状態で生活することが期待される「健康寿命」になると、男性72.14年、女性74.79年と、平均寿命との間に約10年もの差があることがわかります。
(参照:https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr19/img/chr19_03-01-02z.html

このような背景から、早いうちから健康や疾病予防への意識を高めるためのビジネスモデル構築が求められてきているといえるでしょう。

ヘルスケアビジネスに取り組むメリット

では、事業者がヘルスケアビジネスに取り組むメリットにどのようなものがあるのかについて、3点、解説していきます。

市場に参入しやすい

高齢者の割合が年々増えている現在、高齢になっても健康でいたいというニーズが高まり、ヘルスケアへの関心が高まっていることは言うまでもありません。特に新型コロナウイルスの影響もあり、ヘルスケア業界への参入はしやすくなっています。また先述したように、経済産業省が旗を振り、より多くの事業者がヘルスケア事業を行えるよう、環境整備や支援を行ってくれていることも利点として考えられるでしょう。

ESG投資家から評価を得られる

ESGとは、
「Environment(環境)」
「Social(社会)」
「Governance(ガバナンス:企業統治)」
の頭文字から作られた言葉で、投資家が投資先を選ぶ際の重要な要素として打ち出された概念です。ESGに配慮する企業へ投資するESG投資家は、環境や社会とのつながりも深いヘルスケアを企業が取り組むべき重要な項目として考えています。つまり、ヘルスケアを経営に取り込み積極的に実践している企業は、ESG投資家から高評価を受けやすく、事業拡大を目指せるというメリットがあるのです。

異業種からでも参入可能

健康に関する事業は従来、主に医療や医薬、保険業界ならではのものというイメージがありました。しかし、現在はさまざまな業界や業種からでも参入が可能になりつつあります。
公的医療保険や介護保険を活用する事業が中心にあるとすると、その周りには公的保険適用外の運動や栄養、保健サービスなどの事業者が参入しやすいでしょう。またその事業者は、農業、観光などの地域産業やスポーツ産業を営む異業種と連携し、新しいビジネスモデルを創出するような仕組み作りも考えられます。

ヘルスケア事業を展開するには、まずその事業を行うきっかけとなった事柄をもとに、自社の強みを生かしていくステップを踏んでいきます。ただ、事業化に向けては事業構想から事業の立ち上げ、ノウハウの構築や普及戦略まで、踏むべきステップや押さえるべきポイントを政府が用意してくれているため、安心して検討を進めることができます。

ヘルスケアビジネスにおける課題

ヘルスケアビジネスを実際に進めていく中では、メリットだけではなく、さまざまな課題があることもあらかじめ理解しておく必要があります。
ここではよくある課題について3点、解説をしていきます。

初期費用が高い

まず、1つ目の課題としては、初期にかかるコストが高いという点です。ヘルスケアビジネスを構築するにあたっては、オリジナルのシステム開発が必要な場合もあります。また、そのコストを回収し利益を得られるようになるまでには、ある程度の時間がかかることも理解しなければなりません。

無関心なユーザーの引き込みが難しい

今やヘルスケアビジネスは、さまざまなメディアで目にする機会も増えてきました。しかしそれでも一定数、「健康に無関心」「健康は最優先事項ではない」といったユーザー層がいることも確かです。そのため、どのようにその層を巻き込み、ビジネスのターゲットを広げていくかという問題は必ずつきまといます。

公的サービスと比べた価格競争に勝ちづらい

3つ目は、公的医療保険や介護サービスと比べたときの価格差についてです。公的サービスは70%OFFという大きな割引が適用されますが、企業が独自サービスで同じような割引を利かせたり同じような価格水準を維持したりするのは現実的には非常に困難でしょう。
そのため、市場競争に勝つためには、価格だけで勝負するのではなく、付加価値を付ける必要性があるといえます。

具体的なヘルスケアビジネスの例

ここまでヘルスケアビジネスのメリットや課題について解説しました。しかしまだどのようなビジネスが考えられるか想像できないかも知れません。実は、ヘルスケアビジネスは大きく「治療」・「予防」・「健康」・「美容」といったジャンルに分けられますが、ここでは「健康」と「美容」に焦点を当てて事例を紹介していきましょう。

健康

近年、注目を浴びるようになってきた「ヘルスツーリズム」は、健康・旅・地域資源といった3つの要素を組み合わせた新しいビジネスモデルで、すべての人に、旅行を通じて健康増進や維持、回復、疾病予防に貢献するものといえます。
経済産業省では実証事業として「ヘルスツーリズム認証制度」を構築し、2018年より有償で認証を始めています。実際に各地域の自治体や民間団体が主導してさまざまなツーリズム・プログラムを策定、開発し提供しています。

美容

ダイエットや美しい肉体を作り上げるためにフィットネスに取り組んでいる人はたくさんいます。そんな人たちを対象に、専用のプログラムを準備して一人ひとりの目標や目的に沿ったメニューを設定し、しかも専属のトレーナーがついたマンツーマン方式でゴールを目指す独自のプログラムを行っている企業があります。
徹底した訓練を受けたトレーナーの指導と、年齢や体力に見合ったメニューを段階的にこなすことで着実に目標達成に向かえるのです。
斬新かつ徹底したスタイルのパーソナルトレーニングも、ヘルスケアビジネスの新しい形といえるでしょう。

まとめ

ヘルスケアは政府からの支援や環境整備の後押しもあり、さまざまな企業が幅広く取り組みを行っています。市場に参入しやすい、投資を受けやすいというメリットがある一方、コストや対象ユーザーに課題があることも理解した上で、自社にとってどのような取り組みが最適なのかを検討してみましょう。

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