美容の新時代! ウェルネスがビューティーに与える影響とは

近年、身体だけでなく、メンタルやライフスタイルなどの側面から健康を捉える「ウェルネス」という概念が世界的に注目されています。ビューティーに関わる業界も、人々の関心を反映して、ここ数年で大きな変化がありました。本記事では、ウェルネスに重きを置く時代の流れが美容業界にもたらす影響について解説します。

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ウェルネスとは?

「ウェルネス」とは、健康を身体的な面だけでなく、より広義に捉える考え方です。通常、「健康な状態」といえば、病気や怪我がなく体調が良好な状態をイメージする方が多いでしょう。ところがウェルネスでは、身体に加え、メンタルや環境、人間関係などの社会的な要素も健康の側面として定義されているのです。

身体的な健康を人生の基盤とし、心身ともにより快適に溌剌と生きている状態や、それを目指す過程こそがウェルネスです。

このウェルネスの定義が誕生したのは、1961年にアメリカの公衆衛生学者・ハルバート・ダン博士によって提唱されたのが発端です。そこからさまざまな解釈や定義などが追加され、時代の流れとともに少しずつ形を変えていきました。
現在でも世界各地でウェルネスに関する定義付けが行われており、日本では2017年に琉球大学の荒川雅志教授によって「身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、豊かな人生をデザインしていく、自己実現」と唱えられています。
(引用元:国立大学法人琉球大学 ウェルネス研究分野「ウェルネスとは」

この定義にもみられるように、現代のウェルネスの概念は「より豊かな人生を送るための自己実現」として捉えられます。

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ウェルネスとビューティーの関係性

前項でご紹介したように、ウェルネスの概念はゴールを自己実現としています。そのため、同じく「自分らしくいる」「自分を高める」といった自己実現を目的とした美容とも関連が強いのです。
2020年の世界ウェルネス機構のレポートによると、ウェルネス市場に内包されるパーソナルケア・ビューティー・アンチエイジング産業は、100兆円を超える規模の巨大な産業とされています。
(参照元:「The Global Wellness Economy Stands at $4.4 Trillion Amidst the Disruptions of COVID-19; Is Forecast to Reach $7 Trillion by 2025」
そのため、美容業界ではウェルネスの概念を、ユーザーの関心を引き購買意欲を掻き立てるためのマーケティングとして活用する向きもみられます。

ウェルネス関連の商品としては、睡眠やオーラルケアのほか、女性特有の健康に関する悩みにアプローチするフェムテックのプロダクトも注目を集めています。吸水ショーツや月経カップをはじめ、これまであまり一般的でなかったアイテムが、雑誌やSNSを中心に話題を呼んでいます。

同じく、ウェルネスやビューティーに関するトピックスとして消費者からの関心が高まっているのは、CBD(カンナビジオール)関連のプロダクトです。CBDとは大麻草から抽出される成分ですが、WHOから安全性を認可されており、ストレスの緩和などを目的に活用が広がりつつあります。食用オイルのほか、リップクリーム、ボディクリームなどの美容商品が登場しています。

このように、ウェルネス市場の拡大とともに美容業界でも新たなムーブメントが生まれ、日々成長しているのです。

ウェルネスがビューティーに巻き起こすトレンド

近年ではデジタルツールやSNSの普及に伴い、ユーザーの志向が「モノ消費」から「コト消費」へとシフトしています。高級なコスメを揃えるよりも、ヨガやフィットネスで体を動かしたり、休日にゆったりと過ごせるスパやホテルに滞在したり、ヘルシーで見た目も美しい食事を楽しんだりすることに価値が置かれるようになりました。現在は、人々の憧れの対象が外見的な美しさから健康的で幸福度の高いライフスタイルへと移行する過渡期といえるでしょう。

こういった傾向に加え、ウェルネスやビューティーの市場では、新型コロナウイルス感染拡大の影響も多大です。これまでは、周囲からの視線に重きを置く、いわゆる「モテメイク」や「モテ美容」がトレンドの主流にありました。ところが、コロナ禍で巣ごもり需要やストレスケアの重要性が高まり、現在はセルフケアの注目度が高まっています。美容プロダクトも、使い心地や成分にこだわりがある、セルフケアに寄りの商品が続々と登場しました。「ととのう」というフレーズで話題のサウナブームからも、日本でのセルフケアの浸透度合いがうかがえます。

また、海外を中心に「#SelfCareSunday」というハッシュタグが流行していることも、ウェルネスの広がりを象徴しています。#SelfCareSundayは文字通り、「毎週日曜日は自分を休ませ、好きなように過ごす」という意味です。健康的に過ごす休日の写真にこのタグをつけた投稿がトレンドとして話題を呼んでいます。デジタルの発展によりいつでも人と繋がれる時代になったからこそ、「日曜日は自分のための時間」とはっきり線引きをすることで、より有意義な休息が実現するでしょう。

ウェルネスを意識した「ウェルネスサロン」

人々のウェルネスへの関心の高まりとともに、身体の内側・外側の両面のケアができる「ウェルネスサロン」が増えています。ニューヨークでは、ヘルシーな食事や飲みものを提供するカフェ、ヨガスタジオ、エステサロンなどを集めた新しいスタイルの複合施設が続々登場。ウェルネスやビューティーの情報に敏感なニューヨーカーのニーズを満たす新スポットとして支持を集めます。なかには、医師やセラピストによる本格的な指導や施術が受けられる会員制のウェルネスサロンもあります。ウェルネスに投資を惜しまない人が増えていることの表れともいえそうです。

日本でもここ数年で瞑想スタジオや個室サウナ、エステ併設のカフェなどが次々とオープンし、メディアやSNSで取り上げられています。今後もウェルネスの広がりに比例し、こういった施設が充実していくことが期待されます。

クリーン・ビューティーの流行

ウェルネスには人が生きる環境を大切にする考えがあり、それを受けてコスメも、地球にとってクリーンなものが選ばれる傾向が強まっています。このクリーン・ビューティーの台頭によって、企業に求められる姿勢が変化しつつあります。これまでは、「いかに良質な製品を作るか」に注力をしていたビューティー産業にも、サステナブルな姿勢の有無が問われるようになったのです。単なるマーケティングとしてサステナブルやクリーンを謳うのではなく、本当に真摯な姿勢で取り組んでいるのか、消費者からは厳しい判断の目が向けられています。

たとえば化粧水ひとつとっても、原材料の品質だけでなく、不当な労働や動物実験が行われていないか、容器はリサイクルが可能かなど、製造から流通におけるすべてのステップでサステナビリティが重要視されます。

セルフケア市場は今後も成長する

ウェルネス市場の中でも、セルフケアに関する動きは今後も活発になるであろうと予想されます。株式会社グローバルインフォメーションが発表したレポートでは、世界の女性向け健康・美容サプリメントの市場は、2021年から2028年にかけて、CAGR(年平均成長率)4.9%で拡大していくという予測が出ています。
(参照元:「女性の健康および美容サプリメントの市場動向・市場シェア・市場規模の予測 (2021-2028年):製品・用途・年齢層・消費者層・販売経路・地域別」
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、ビューティーの分野では今後もセルフケアの需要はさらに存在感を増すことでしょう。

まとめ

ウェルネスは、身体だけでなく、メンタルや環境などの広義で健康を捉える概念です。自己実現を目指す点で美容と親和性が高く、現在ではウェルネスをコンセプトにしたビューティープロダクトが増えています。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、美容分野では「セルフケア」の重要性が重視され始めています。
ウェルネス関連産業は巨大な市場であり、特に「セルフケア」関連は今後もさらなる発展が見込まれます。今がウェルネスに重きを置いたビジネス展開の好機といえるのではないでしょうか。

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