フェムケアとは? 女性の活躍をグッズで後押しする
- 2022.06.20
- 健康維持・増進
- ウェルネスの空 編集部
フェムケアとは、女性の健康問題にアプローチする商品・サービスのことです。フェムテックとの違いは、AIやインターネットなどのテクノロジーを使用していないことで、インナーウェアやサプリメントといったグッズなどを指します。本記事では、フェムケアの概要や重要視される背景、大企業が開発したフェムケア製品などを紹介します。
フェムケアとは? フェムテックとの違いは?
「フェムケア(Femcare)」とは、フェミニン(Feminine:女性の)とケア(Care)を掛け合わせた言葉です。主に女性特有の健康問題を解決してくれる商品やサービスを指します。
フェムケアに似た言葉に「フェムテック(Femtech)」というものがあります。こちらは、女性の健康問題にテクノロジーを使ってアプローチしていくことです。このことから、フェムケアはテクノロジーを使わずに問題解決をする商品・サービスを指し、フェムテックと使い分けられます。
実際にフェムケアにはどのような商品・サービスが展開されているのでしょうか。例としては、サニタリーショーツやマタニティインナー、女性用サプリメントなどです。一方、フェムテックの例としては、生理周期管理アプリやホルモン検査キットなどが当てはまります。
女性特有の健康問題は、月経や妊娠、不妊、産後ケア、更年期、婦人科系疾患、セクシャルウェルネス(性の健康)など、多岐にわたります。近年は、このような問題を解決するために、多くのフェムケア商品やフェムケアサービスが展開されています。
フェムケアの重要性
近年、女性の社会進出が進み、多くの女性が第一線で活躍しています。しかし、ライフステージごとに多くの健康問題を抱える女性にとって、現在の社会システムは寛容であるとは言い難いでしょう。急速に進んだ女性の社会進出に、女性の健康問題への対応が追い付いておらず、ギャップが生まれています。
実際に、妊娠・出産後の職場復帰が難しいと考える女性も多く、産休・育休制度はあるものの、その制度が使いにくい環境である企業も少なくありません。しかし、出産後も仕事を続けたい女性や、生活のために働かなければならない女性も多いはずです。産休・育休制度は正当な権利ですが、その声が届いていない現状や、実際に子供が生まれた後の状況、周囲の無理解から職場復帰が難しいものとして捉えられている現状があります。
また、一般的に更年期の症状が出やすい40代から50代の女性は、会社で管理職に就く年代と重なります。昇進のチャンスがあっても、更年期の症状を理由に辞退する、もしくは辞退を考えたことがあるというデータもあります。大塚製薬が行った調査では、更年期症状によって40%の女性が「昇進辞退の経験・検討をした」と回答しています。
※参照元|大塚製薬「働く女性の健康意識調査」
さらに、生理の影響で75%の女性が「仕事の効率低下」を感じ、年間で約60日もその影響があるという調査結果もあります。このことから、女性の健康問題は、企業にとっても配慮すべき問題といえるでしょう。
※参照元|日経BP 総合研究所「20~40 代『働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活』調査(速報版)」
これらを背景として、フェムケアグッズの開発・普及は、多くの女性にとっても、社会にとっても、大きな利益になるとして重要視されています。
ジェンダーギャップが大きい日本
より良い世界を目指すための国際目標であるSDGsのひとつに「ジェンダー平等の実現」があります。このような世界的な社会目標が注目されるなか、日本は2021年に公表された世界経済フォーラムの調査で、男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」が先進国のなかで最低レベルであり、韓国や中国よりも後れを取っている結果が出ました。
今後、日本人女性の活躍をサポートするためには、国や自治体による取り組みが重要です。それに加えて、企業が働く女性の健康を後押ししていくことも、ジェンダー平等実現のために重要な要素といえるでしょう。
近年は、女性の社会進出により、女性特有の健康問題も可視化されやすくなってきました。女性の起業家も増え、女性が声をあげやすい社会へと変革しています。今後はさらに、フェムケアやフェムテックに注目が集まるでしょう。
フェムケアに参入する大企業の例
ジェンダー平等の流れを受けて、日本でもフェムケアに参入する企業が増えています。衣料品を扱う、ある大企業では、小児から高齢までライフステージとともに変化していく女性の体に合わせたインナーウェアを開発しました。成長期や初潮、月経、PMS、妊娠・出産、授乳、さらに更年期や体が思うように動かなくなる高齢期にも、体の変化に寄り添ったインナーウェアがラインナップされています。
なかでも、繰り返し洗って使える吸水ショーツは、ニオイやムレなど女性特有の不自由が多い日にも安心して過ごせる快適なショーツです。繰り返し洗えることで、環境への影響にも配慮されています。また、体の機能が落ちても着脱しやすい前開きインナーは、妊娠中や授乳期、サポートが必要な高齢期など、さまざまな状況でもサポートできるよう考えられています。
すべての女性、あらゆる状況の人たちが平等に生きられる世界を目指す「ジェンダー平等の実現」は、さまざまな企業活動に影響を与えています。これからも多くの企業がフェムケア商品やサービスを展開していくことでしょう。
女性の健康とウェルネスの分野は成長市場
近年、日本において働く女性は増加の一途をたどり、また日本人女性が世界一の長寿であるなかで、女性の健康とウェルネス分野は成長市場といえます。SDGsの認知度が高まったことや、多くの分野に女性が社会進出していることも、フェムテック・フェムケア分野の成長を加速させている要因です。
女性の健康とウェルネスの専門企業やフェムテック領域のNPO団体が発表したレポートによると、フェムテック市場は2027年までに約1兆1860億ドルという巨大市場に成長すると予想されています。理由としては、多くの大企業がフェムテック・フェムケア業界に進出してきており、新規参入や既存事業の拡大を図るなどのケースが増えているためです。
※参照元:FEMTECH LANDSCAPE 2021
今後、生理やPMS以外にも、更年期ケアやセクシャルウェルネスなども注目されると考えられます。そういった機運のなかで、フェムケア・フェムテック分野では、デリケートゾーンケア商品や遠隔で行うオンライン相談システムなどが成長市場になるとみられており、さらに多くの商品やサービスが開発・提供されていくでしょう。
まとめ
フェムケアは、女性の健康問題を解決するために開発された商品のことです。近年、女性の社会進出が急速に進むなかで、フェムケア商品やサービスに注目が集まっています。
女性は、成長期から高齢期までライフステージとともに生理やPMS、妊娠・出産、更年期など、体が変化していきます。それらの健康問題は、働く女性の仕事効率を低下させ、企業の生産性にも影響するといわれています。
また、日本はSDGsのひとつである「ジェンダー平等の実現」に後れを取っている現状があります。この問題は、国や自治体の政策だけでは解決できることではなく、企業活動でも後押ししなければなりません。
そのため、引き続き今後も、女性の健康問題に関わる分野は成長市場であると考えられ、さまざまな企業が新規参入、もしくは既存事業の拡大に取り組むと見られています。そして企業は、これからも女性の社会進出をサポートするために、フェムケア・フェムテック分野を取り入れたウェルネス経営が求められるでしょう。
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