長時間労働につながる代表的な原因とは? 問題と対策を紹介

長時間労働につながる代表的な原因とは? 問題と対策を紹介

過度の長時間労働は人件費を増加させるだけでなく、ときには従業員の健康を害する恐れもあります。これを改善することは、企業にとって大きな課題のひとつです。そこで本記事では、長時間労働が起きてしまう主な原因と、その解決策を解説します。

長時間労働につながる代表的な原因

長時間労働を削減するためには、定時で業務が終わらない原因を特定することが重要です。一般に、長時間労働が発生する主な原因としては、以下のような事情が考えられます。

人材不足

長時間労働の最も代表的な原因が人材不足です。業務量をカバーできるだけの人手が確保できていない場合、残業や休日出勤が発生することは避けがたくなり、結果として長時間労働が常態化してしまいます。

人材不足が発生する理由は多種多様です。少子高齢化の影響はもちろん、特定の業種や職種が不人気であったり、人件費の削減が影響していたりする場合もあります。あるいは、特定の時期だけ忙しく、常時雇用の従業員だけでは手が回らないということもあるはずです。

いずれにせよ、一人あたりの業務量が増加すると、従業員の労働時間や作業負担も大きくなります。このような労働環境の悪化が長く続くと、離職率が高まり、さらに人材不足が悪化するという悪循環に陥ることも懸念されます。

マネジメント力の不足

第二の原因はマネジメント力の不足です。管理職が部下の業務量や進捗状況、キャパシティを把握した上で適切に指示できていないと、特定の従業員に定時で完了できないほどの仕事が集中してしまう恐れがあります。

マネジメント力が不足していると、ある従業員は残業するほど忙しくしているのに、別の従業員は暇そうにしているという業務量の不均衡が発生しがちです。このように不公平な状況は、従業員間の不満や軋轢を生むのはもちろん、業務の属人化や従業員の健康状態の悪化、離職率の増加などの原因になりえます。

企業風土

「特に必要性もなく残業をしている」というケースも少なくありません。こうした状況は、「残業して当たり前」「残業しない人はやる気がない」とみなす企業風土がバックボーンになっていることがあります。

このような雰囲気が職場に蔓延していると、上司や周囲にあわせて漠然と残業をしているだけという、非生産的な状況が生まれます。従業員自身が残業代を稼ぐ目的で長時間労働をするケースもありますが、残業を前提とした給与体系や働き方が組織的に構築されてしまっているのだとしたら、これも企業風土の問題と捉えられます。生産性を重視する企業風土を組織全体で醸成していかなければ、長時間労働を減らすことは困難です。

無駄な業務

無駄な業務の存在もまた、長時間労働につながる大きな原因です。具体的には、「アナログな作業が多い」「業務の棚卸ができていない」「会議や朝礼、夕礼などが多すぎる」といった状況が考えられます。こうした状況が放置されていると、他社に比べて特に人手が不足しているわけではなくても、長時間労働が多くなります。

朝礼や夕礼、頻繁に行われる会議は、先述の企業文化の問題も根底にあります。特に目的意識もなくこれらを行っているとすれば、従業員が本来の業務に割くべき労力や時間を無駄に消費させていると言っても過言ではありません。

長時間労働によって起こる問題

過度の長時間労働は、企業と従業員双方にとって大きな悪影響を及ぼします。

まず、満足に休む暇もないほど働いていると、従業員は仕事に必要なモチベーションや集中力を保てなくなり、生産性が低下します。作業効率が下がるのはもちろん、不注意によるミスも起きやすくなり、重大な事故やトラブルにもつながりかねません。もちろん、残業代による人件費の増大も由々しき問題です。

また、従業員の健康面にも悪影響を及ぼします。長時間労働が続けば、従業員の心身には過大な負担がかかり、休職や離職はもとより、最悪の場合、過労死が起きる恐れもあります。このような事態になれば、労災認定を巡って従業員と法的に争う事態になることも考えられます。

休職者や離職者が増えれば、残された従業員の負担が増大し、さらなる長時間労働を引き起こす悪循環に陥ることも警戒しなければなりません。「ブラック企業」というイメージが世間に広がれば、人材を採用するのが難しくなったり、業績が悪化したりすることも懸念されます。

長時間労働を減らす四つの対策

長時間労働は多くの企業における共通の課題であり、その解決には組織全体での取り組みが必要です。ここでは長時間労働を減らすために有効な四つの対策を紹介します。

1.多様な働き方を推進する

フレックスタイム制やリモートワークの導入など、多様な働き方を推進することは、直接・間接的に長時間労働の解消をもたらします。これらの施策の導入にあたっては、従来の働き方を見直し、従業員が働きやすい環境を構築することが求められるからです。

たとえば、フレックスタイム制を導入すれば、従業員は仕事状況に応じて出退勤時間を調整できるようになり、無駄な待機時間などを減らして長時間労働を改善することが可能です。また、リモートワークの導入に際しては、これまでアナログでこなしていた作業をデジタルに置き換えるため、業務効率化につながります。ただし、リモートワークを実施する際には、隠れた残業が発生しないように注意する必要があります。

2.制度を見直す

企業風土が長時間労働の原因になっている場合は、人事評価制度などの見直しをすることも有効です。周囲にあわせて無駄な残業をする人は、端的に言えば、残業しないせいで自分の評価が下がることを恐れています。

したがって、自社が評価するのは労働時間ではなく生産性であると人事評価制度によって明確に示すことで、無駄な残業を忌避する企業風土を育てやすくなります。また、ノー残業デーや残業の事前承認制などを導入することも、長時間労働の抑制に有効な手段です。これらの制度は、残業が決して当たり前ではないことや、残業しないように仕事を終わらせるという意識を従業員に根付かせるために役立ちます。

3.IT化やDXによる業務改善を行う

先述したリモートワークの導入にも関係しますが、IT化やDXを推進して業務改善を行うことも重要です。デジタル技術を活用することで、これまで時間を要していた煩雑な業務を自動化・効率化できます。たとえば、ビジネスチャットや勤怠管理システムの導入は、リモートワークと業務効率化を両立させるために有効な手段です。

業務改善に取り組む際には、その前段階で既存の業務プロセスを見直すことが求められます。この過程で、業務量の偏りや、無駄な業務の存在に気づくこともあるはずです。こうした一連の取り組みを通して、人材不足や長時間労働を効率的に改善できます。

4.従業員の労働時間や健康状態を可視化する

長時間労働やそれによる健康被害を抑止するためには、ITを活用して従業員の労働時間や健康状態を可視化することも有効です。意図的に労働時間を短く申告する従業員もいるので、客観的に労働時間を把握する手段を確保することは非常に重要です。

その点、システム導入を通して、各従業員の労働時間を正確に記録して管理できるようになれば、長時間労働の傾向がある部門や個人を的確に特定できます。また、従業員の健康管理を適切に行うことで、過労などの健康リスクを把握し、必要な対策を講じやすくなります。

可視化に役立つ「産業保健支援ソリューション」

労働時間や健康状態の可視化に際しては、「産業保健支援ソリューション」が役立ちます。このシステムでは、社員マスターや健診結果、残業時間のデータ連携によって、健康管理を効率的に行えます。クラウド上で従業員の健康管理情報を管理・可視化できるので、過労などの健康リスクから従業員を守るためにもおすすめです。

関連記事:ベルシステム24が提供する産業保健支援ソリューション|ウェルネスの空 - よりよく生きるための健康を考えるポータルサイト

まとめ

長時間労働は、人手不足やマネジメント力の不足、残業を是とする企業風土、無駄な業務の存在などによって生じます。長時間労働を放置することは、自社の生産性低下や従業員の健康リスクにつながるので、積極的に対策を講じることが必要です。具体的な解決策としては、働き方や制度の見直し、IT活用などが挙げられます。特に「産業保健支援ソリューション」の導入は、従業員の健康を守るためにも有効な選択です。

ベルシステム24が提供する産業保健支援ソリューション

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