健康診断にもウェルネス視点を! 今後求められる健康経営についても解説

社会の高齢化が進む現在、ますます健康診断の重要性が高まっています。本記事では、昨今主流になってきている「ウェルネス志向の健康診断」とはどのようなものなのかを解説します。さらに企業において積極的に従業員の健康管理を行う「健康経営」についても、その意義や取り組み方などをご紹介します。

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そもそもウェルネスとは?

「ウェルネス(wellness)」という言葉は、半世紀以上前の1961年にアメリカのハルバート・ダン博士が初めて提唱した概念で、身体的な健康だけではなく、より生き生きと輝くように過ごすために健康を維持、増進する生活態度のことを指します。

世界保健機関(WHO)は、1947年に採択したWHO憲章において、「健康(=health)」を以下のように定義しました。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」

ウェルネスは、WHOの「ヘルス」の定義よりも「健康」を広い視野でとらえ、ライフスタイルや生き方も含めた概念を表しているといえるでしょう。肉体的な健康だけでなく、感情、職業、社会性、環境など、ウェルネスの指標は多岐にわたります。
また、消費者の価値観の変化も後押しし、ウェルネスの概念はさまざまな産業、業界で取り入れられてきています。それぞれのライフスタイルに合った栄養指導や無理のない運動の提供など、ウェルネスを活用した新たなビジネスモデルも続々と誕生し、市場規模は世界的に拡大しているといえます。

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ウェルネス視点な健康診断とは

医学といえば、かかってしまった病気を治す治療医学が主でしたが、今の時代では病気になりにくい体をつくる予防医学が重要視されるようになりました。予防医学では、疾病を遠ざける生活習慣を身に付けることや、心身の健康を増進するための教育を「一次予防」といいます。一次予防の充実には、現在の身体の状況を確認し、疾病リスクを予測する必要があり、定期的な「健康診断」がより重要になってきています。

なお、この健康診断を「健診」と略して呼ぶこともありますが、似たような言葉の「検診」とは異なることに注意が必要です。
「検診」は、あらかじめ標的としている病気に対し、病変の有無を確認し早期発見につなげることで、病の重症化を防ぐ「二次予防」を目的としています。たとえば自治体などでも広く行われている「各種がん検診」などがこれに当たるでしょう。

このように健康診断は「検診」と目的が異なるため、必要に応じて受診すればいいということではありません。現在の自分の健康状態を俯瞰的に見られる絶好の機会として前向きにとらえ、より毎日を生き生きと過ごせるようにするため積極的に受けることがウェルネス視点につながっていくといえます。

健康診断に今後求められること

ウェルネス視点での健康診断に、今後必要とされることはどのようなものでしょうか。ここでのキーポイントには

  • 診断元からのフォローアップ
  • 企業から社員への健康管理

が挙げられます。
ではそれぞれを詳しく見ていきましょう。

診断から先のフォローアップ

健康診断を受けても結果に対するアドバイスがなければ、受診者は本来の目的である「どのような状態で、どのようなリスクがあるのか」を確認できず、せっかく時間や手間をかけて受診した意味がなくなってしまいます。つまり、診断を受けた後、現在の健康状態を理解した上でどのような生活を送ればよいのか、結果に即した「改善を促す指導」が不可欠だといえます。

また厚生労働省が定める「健康増進法」に基づいて、これまで実施主体や所轄省庁などが異なるためにバラバラに管理されていた健診結果データを、デジタル技術を用いて一元化し、利活用する動きも活発化してきています。データがデジタル化されれば、受診者自身がポータルサイトにおいて健診結果をいつでも確認できるようになりますし、医療機関はそのデータに基づいて個別に最適化された医療を提供することができます。その実現に向けて、自治体へはシステム構築に際して補助金の交付も行われています。

企業による社員の健康管理

企業(事業者)は、厚生労働省が定める労働安全衛生法第66条によって、従業員に対し医師による健康診断を受けさせなければならない義務があります。受診のタイミングとしては、

  • 雇い入れ時の健康診断(雇い入れ時)
  • 定期健康診断(1年以内ごとに1回)
  • 粉じん作業など特定業務従事者の健康診断(配置されてから6月以内ごとに1回)

などが挙げられます。
この企業の義務は、ただ単に健康診断を受診させるだけではありません。各従業員の健診結果の把握はもちろんのこと、アフターフォローまで含まれることに留意する必要があります。つまり健康診断という枠にとらわれることなく、従業員が心身ともに健康で働けるよう、さまざまな視点から健康管理を行うことが企業経営的にも重要であり、戦略的に実践することが国からも求められているといえます。

ウェルネスな健康管理を目指す「健康経営」とは

近年は「健康経営」という言葉が登場し、ウェルネス視点での健康管理を目指す企業が増えてきました。ここからは、健康経営とはどのようなものなのか、またその進め方についてご紹介します。

高齢化社会で高まる健康経営への関心

まず、健康経営が注目されてきた背景には「高齢化社会」の急速な進展があります。特に日本は世界の中でも高齢化がハイスピードで進んでおり、2021年10月に経済産業省が発表した資料「健康経営の推進について」によると、2015年において全人口に占める65歳以上の割合は26.0%で、すでに世界最高ですが、2060年には38.1%にまで及ぶことが推測されています。
(参照元:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/211006_kenkokeiei_gaiyo.pdf

このように高齢化が進み、国民医療費や介護保険給付が拡大している現状から、国は国民に向けて、健康への投資の促進と、健康寿命の延伸を求めています。つまり一人一人が自分の心身の健康状態を把握し、高齢でも社会に参画する「生涯現役社会」の構築が重要視されているのです。

新型コロナウイルス感染症予防に伴い健康意識が向上したことに加え、適正なワークライフバランスの確立がメンタルヘルス対策に寄与するという観点からの働き方改革も必要性が増してきています。
そのため、企業にとって「従業員が健康であること」は、継続して経営を維持していくのに必要不可欠な要素であり、投資家にとっては投資対象を検討する際の重要な材料になりつつあります。従業員の健康を重視した経営、つまり健康経営に積極的に取り組む企業が増えることで、生産性の向上や業務の効率化、疾病予防による各種手当や医療費の削減などが期待されています。

健康経営に向けた健康診断の進め方

最後に、企業が健康経営に向けて健康診断を実施する場合、具体的にはどのように進めればよいかに触れておきます。
まず、健康診断の受診率向上を目指すことが重要です。そのためには、健康経営を目指すというビジョンを明確にすることが大切です。企業には従業員に健康診断を受診させなければならない義務がありますが、従業員側にもそれによるメリットがあることを伝えるとよいでしょう。
また、健康診断を勤務中に受診する場合は勤務時間扱いにするなど、業務の合間に受診しやすい体制や組織の雰囲気づくりをしていくことも必要です。
さらに診断結果において要再検査や要治療という判断がなされた従業員に対しては、適切な医療機関へ受診するよう勧奨したり、治療状況を見守ったり相談に乗ったりするなど、アフターフォローすることも大切な取り組みといえます。

まとめ

ウェルネスとは、「健康」よりもさらに広い意味や指標を持ち、ライフスタイルや生き方も含めた健康観を表した概念として、医療分野のみならずさまざまな業界で取り組まれています。企業が従業員に健康診断を受けさせる際にも、疾病予防やアフターフォロー体制の確立など、ウェルネス志向を反映させた健康経営への取り組みが重要になってきています。

もし企業が取り組むべき健康経営について、もう少し詳しい説明や取り組み事例に興味をお持ちであれば、ウェルネスに関する情報ポータルサイト「ウェルネスの空」がおすすめです。

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