企業の健康経営で認定を受けるブライト500とは? メリットなども解説
- 2024.02.20
- 予知・予防
- ウェルネスの空 編集部
従業員の健康を考えて経営を行う中小企業の中でも、特に優秀であると認定された企業を顕彰するのが「ブライト500」です。本記事では、中小企業がこのブライト500認定を目指すことで、どのようなメリットを得られるのか、また具体的にどのような取り組みを進めていくべきかについて解説します。
ブライト500とは
「ブライト500」とは、健康経営®に関して特に優良な取り組みを行っている企業を顕彰する認定制度です。本制度は経済産業省によって設計され、民間の団体である日本健康会議によって毎年審査と認定が行われています。
「健康企業宣言」をしたうえで、従業員の健康管理や健康増進といった健康経営に積極的に取り組んでいる企業は、日本健康会議に審査を申請し、合格すれば「健康経営優良法人」の認定を受けられます。さらに、その年において特に取り組みが優れているとされた500位以内の中小企業が、ブライト500として顕彰されます。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
ブライト500とホワイト500の違い
健康経営優良法人認定制度には、ブライト500とは別に、「ホワイト500」と呼ばれる顕彰制度もあります。ホワイト500は大規模法人を対象とした制度です。
2016年の制度発足当初は、大規模法人等で健康経営優良法人に選ばれた企業は、全てホワイト500と呼ばれていました。その後、制度改正により、大規模法人の中でも上位500社のみがホワイト500として認定されるようになりました。また2021年より、新たに中小企業等を対象としたブライト500の制度が設けられました。
「健康経営優良法人2023」によると、2023年12月時点で健康経営優良法人に選ばれた企業の数は、大規模法人部門で2,166法人、中小規模法人部門で13,508法人です。このように中小企業の占める割合が多いため、ブライト500に選ばれるほうが難しいといえます。
参照元:健康経営優良法人2023 一覧 |ACTION!健康経営
ブライト500認定を受ける意味
経済産業省が健康経営優良法人認定制度を設計した理由は、健康経営に取り組んでいる優良な法人に対する、外部からの「見える化」です。具体的には、従業員の健康に配慮した福利厚生や組織づくりといった取り組みが挙げられます。
ブライト500認定によって、優良な企業が社会的に評価されるなど、さまざまな恩恵がもたらされます。そして企業が健康経営のための組織づくりや施策を実行することにより、社内で働く従業員たちも健康面や福利厚生面でのメリットを享受できます。
このようにブライト500認定は、社内外においてさまざまなメリットの発生に貢献します。
ブライト500認定がもたらすメリット
では、中小企業にとってブライト500認定は、具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。以下にその例を紹介します。
従業員の健康維持につながる
中小企業が健康経営優良企業の認定を受ける過程で、従業員の健康に関するさまざまな施策が行われます。これにより、従業員の健康状態の向上や増進を狙えます。
一度ブライト500に認定されたあとも、そこで健康経営の推進は終わりではありません。上位を維持するためには、健康経営に関するさらなる取り組みが必要です。ブライト500の認定により、企業だけでなく個々の従業員の意識も向上し、さらなる健康増進や健康維持が期待できます。継続的な努力が必要であるからこそ、その効果も長期間にわたって継続すると考えられます。
対外的に好印象を与える
従業員の健康に配慮しているということは、長期的に見て社内の生産性を向上させることにつながります。そして、健康経営に取り組み一定の成果を上げているという情報は、株主をはじめとする投資家や銀行などの融資元などのステークホルダーに好印象を与えます。
また、近年では売上や利益率といった目に見える財務情報だけでなく、社会問題の解決や社会に貢献しているかといった信頼も、ステークホルダーたちの投資判断につながります。ブライト500によって外部から公的に顕彰されたという情報は、ステークホルダーにとってもポジティブな判断材料です。
優秀な人材獲得が期待できる
近年は「働き方改革」に対する意識が強まっています。そのような環境の中、ブライト500に認定されることは、従業員の健康や働き方に配慮している職場であることの証明になります。
採用活動においても、ブライト500に認定されているとアピールすることで、求職者から福利厚生に配慮した働きやすい職場であると認知され、優秀な人材の獲得につながります。
ブライト500認定に必要なこと
それでは、中小企業が「健康企業宣言」をしたうえで健康経営に取り組むにあたり、ブライト500の顕彰を受けるにはどのような取り組みを進めていくべきでしょうか。ここでは、取り組みに際して必要なことを5つご紹介します。
経営理念
ブライト500に認定されるには、企業全体で健康に関わる取り組みを進めていく必要があります。そのためには、経営者自ら「健康企業宣言」を発信し、将来のビジョンを示したうえで健康経営の舵を取らなければなりません。
また、経営者自らも健康診断を受けるのを忘れないようにしましょう。
組織体制
従業員の健康づくりに関する部署を設置し、役員以上の人間が責任者として配置されている必要があります。また、外部の有識者として、産業医や保健師などが関与しているかどうかも評価の対象です。そして求めに応じて、40歳以上の従業員の健診データを提供できるようにしておく必要があります。
制度・施策実行
企業内で取り決めた方針をもとに、実際に制度を設けて施策を実行し、従業員の健康管理と健康増進に励みます。その際は、以下の3つのステップで健康経営を進めていきましょう。
- 計画の策定
従業員の現在の健康課題について把握し、それに対する有効な取り組みを検討しましょう。健康経営で実現したい目標と、目標までのタイムスケジュールを明確化しておくと効果的です。 - 土台づくり
健康経営を進めていくには、社内の理解と、施策を実施するための基盤がしっかり整っていることが必要です。具体的には、社内の役員や従業員向けに研修を実施し、対象者のヘルスリテラシーを向上させましょう。就業時間などの就業規則も整備して、さまざまな事情や家庭環境にある人でも無理なく働けるようにするなど、従業員のワークライフバランスを考えた組織づくりを進めてください。 - 施策の実施
方針をもとに定めた施策を遂行します。施策は従業員の身体面だけでなく、メンタル面のケアも考えたものを実施しましょう。
なお、審査においては次のような施策が評価対象です。
- 保健指導の実施および特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
- 食生活の改善に向けた取り組み
- 運動機会の増進に向けた取り組み
- 女性の健康保持・増進に向けた取り組み
- 長時間労働者への対応に関する取り組み
- メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
- 感染症予防に向けた取り組み
- 喫煙率低下に向けた取り組み
- 受動喫煙対策に関する取り組み
参照元:健康経営の推進について|経済産業省 (P28,29)
評価・改善
施策を実施したあとは、その効果を検証し、評価点や改善点を洗い出します。業務に取り組む際と同じように、PDCAサイクルを回していきましょう。
法令順守・リスクマネジメント
健康経営優良法人に認定されるには、法令を遵守した清廉な中小企業であることが求められます。具体的には、次のような要件を満たしている必要があります。
- 定期検診の実施
- 50人以上の事業所の場合、ストレスチェックを実施していること
- 労働基準法および労働安全衛生法に違反していないこと
まとめ
中小企業がブライト500の顕彰を受けることは、その企業が「健康経営に積極的に取り組む企業」であると社会的に証明されたことを意味し、社内外からの評価が高まるなどさまざまな恩恵が得られます。
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